月別アーカイブ: 2019年6月

東京福祉大学の系列校 留学生 の大幅定員超過は5年以上

東京福祉大学系列の専門学校が定員を大幅に超える留学生を入学させていた問題で、この専門学校は「日本語学校からの受け入れ要請を断り切れなかった」とし、少なくとも5年以上にわたり、この状況が続いていたことが分かった。この学校は名古屋市の東京福祉大学系列の専門学校「保育・介護・ビジネス専門学校」。同校の留学生を受け入れている「国際教養学科」は、一学年の定員は240人だが、今年度はこの9倍近くにあたる2,100人を入学させていた。この大幅な水増し入学は2015年度から始まったとみられ、同年度の受け入れ人数はおよそ500人で、年を追うごとに増え続けていったという。愛知県は、同校が県に虚偽報告を行っていた疑いがあるとして、現在実態調査を進めている。

CTCとウェルモ AI活用し訪問介護のヘルパー配置の最適化で実証実験

伊藤忠テクノソリューションズ(本社:東京都千代田区、略称:CTC)とウェルモ(本社:福岡市)は6月6日、訪問介護事業所や介護士の生産性向上への貢献を目的に、AIを活用して訪問介護のヘルパーを最適に配置するシステムを開発したと発表した。アスパル(所在地:福岡市)、グリーンケア(所在地:福岡市)、ナイスケア(所在地:東京都目黒区)の各事業所で、5月21日から6月末にかけてこのシステムの実証実験を実施する。今回のシステムは、ウェルモが開発する介護の資源プラットフォーム「ミルモネット」と、CTCが開発する最適配置を行うAIエンジンを連携したもの。これにより、ヘルパーと介護サービス利用者の要望を最大限満たして満足度を高めるとともに、ケア受け入れ数を最大化した訪問ルートを自動作成することができる。

18年最多の44.4万人減少,合計 特殊出生率1.42、人口減少加速

厚生労働省によると、2018年の人口減少幅は44万4,000人余に達し、11年連続で過去最大となり、人口減少が加速していることが浮き彫りになった。出生数は91万8,379人(前年比2万7,000人余減)と、明治32年に統計を取り始めて以来最も少なくなった。一方、死亡者数は136万2,482人(同2万2,000人余増)と最多となった。合計特殊出生率は1.42となり、前年を0.01ポイント下回った。これを都道府県別にみると、最も高かったのは沖縄で1.89、次いで島根が1.74、宮崎が1.72となっている。最も低かったのは東京で1.20、次いで北海道の1.27、京都が1.29で続いた。また、2018年に結婚した男女の数は全国で58万6,438組と戦後最も少なくなった。

介護人材育成で画期的取り組み海外で育成し、日本へ派遣

介護人材の慢性的な不足を抜本的に改善することを目的に、業界事業者や関連業者に呼び掛け発足した「介護人材フォーラム」の発起人会合が6月6日、大阪市淀川区で開かれ、正式に立ち上げ、活動が始動することになった。同フォーラムは、海外からの介護人材の受け入れ・育成および、国内の主婦・学生・高齢者らを対象に地域ごとに地域の事情に合わせて様々な手法で、それぞれ育成することを目指している。発起人会合には、事務局の役割を担う一般社団法人 外国人介護留学生支援機構(所在地:大阪市淀川区)の呼び掛けに応じ出席したのは、社会福祉法人および医療法人含め3社の介護事業者と関連業者2社の5社だったが、時間的に調整がつかず出席しなかった介護事業者5社を合わせ、10社が発起人として名を連ねている。同フォーラムの最大の特色は、画期的な取り組みの方向にある。中長期的な到達目標として、海外における日本語学校併設の日本式介護研修施設による介護人材の育成を掲げ、そのうち希望者を日本の介護施設へ派遣するというものだ。また、外国人介護人材の現行制度のもとでの受け入れについても、海外諸国の人材送り出し関連団体および受け入れの管理組合を介さない独自ルートによる介護人材育成システムの構築を目指すとしている。外国人材受け入れ拡大に向け、4月からスタートした新在留資格「特定技能」制度に基づく外国人受け入れも、現状では問題点や課題が数多く指摘されている中、抜本的な解決策として今後の取り組みの行方が大いに注目される。

幸和製作所 シルバーカーに韓国より3万台の大口発注

幸和製作所(本社:大阪府堺市)は6月4日、韓国から同社の主力製品シルバーカーに3万台の発注があったと発表した。納期は2019年7月末まで。韓国ではすでに日本の介護保険制度に相当する老人長期療養制度が導入されており、シルバーカーもその保険対象となっている。先にシルバーカーがISO(国際標準化機構)から認証を受け、福祉用具のカテゴリーの一つとして国際的に認められたことも追い風になっているとみられる。

理研 アルツハイマー病の悪性化に関わるタンパク質を発見

理化学研究所脳神経科学研究センター神経老化制御研究チームは6月4日、「CAPON」というタンパク質がアルツハイマー病の悪性化に関わることを発見したと発表した。これにより、今後新たなCAPONの機能を阻害するような薬剤(手法)が開発されれば、アルツハイマー病の進行を抑制できると期待される。今回研究チームはCAPONがタウタンパク質と結合することを発見。ヒトのアミロイド病理を再現するモデルマウスの脳でCAPONを強制発見させると、タウ病理と神経細胞死に伴う脳の萎縮が促進されること、逆にタウ病理と神経細胞死を再現するモデルでCAPON遺伝子を欠損させると、脳の萎縮が抑制されることが明らかになった。この研究はアステラス製薬との共同研究、日本医療研究開発機構などの支援を受けて行われた。

グローリー 認知症疾患診断など産学連携共同研究に参画

グローリー(本社:兵庫県姫路市)は6月4日、順天堂大学がキリンホールディングス、三菱UFJリース、日本生命、三菱UFJ信託銀行と共同で行う、高齢化に伴って発症するパーキンソン病や認知症などの神経変性・認知症疾患についての産学連携共同研究に参画すると発表した。グローリーは自社の画像認識技術を応用させ、顔画像から感情が読み取れる技術を2018年9月に開発。今回の共同研究で同社の感情認識技術と日本IBMのAI(人工知能)およびデータ解析技術を研究開発に活用し、顔の表情や話す言葉から、疾患の早期発見や進行度合いを診断できるシステムの構築を目指す。

幸和製作所 シルバーカーが歩行補助具としてISO規格認証を取得

幸和製作所(本社:大阪府堺市)はこのほど、高齢者の歩行補助を目的として開発し、主力製品として製造販売している同社のシルバーカー(Walking Trolleys)が、歩行車(Rollators/ISO11199-2)とは異なる機能や用途を有する歩行補助具として、国際標準規格(ISO19894:2019)として認証されたと発表した。今回シルバーカーが福祉用具のカテゴリーの一つとして国際的に認められたことで、シルバーカーが持つ独自の機能や用途が認知され、海外市場でのシルバーカーの販売拡大が促進されると期待を寄せている。

神戸に来日外国人支援する交流施設オープン

神戸市長田区に6月1日、来日して日の浅い外国人のため日本語の学習を支援したり、生活に必要な情報を提供したりする交流施設「ふたば国際プラザ」がオープンした。この施設では、神戸に住む外国人の日本語学習を支援するほか、来日して間もない人が安心して暮らせるよう医療や雇用保険などの制度や運転免許証の取得方法、ごみ捨てルールなど生活に必要な情報を教えたり、窓口を紹介する。神戸市の外郭団体が日本で暮らす外国人の支援を行っているNPO法人「神戸定住外国人支援センター」に委託して運営する。

20年度末までに介護職員の残業時間を縮減 厚労省が改革案

厚生労働省はこのほど、介護職員の残業時間の縮減、単位時間サービスの改善などを内容とする「医療・福祉サービス改革プラン」を公表した。AIやロボット、センサーといった新たなテクノロジーの活用、ICT化の加速、事務負担の軽減、業務の切り分け・役割分担などで実現を目指す。改革の骨子は①介護職員の平均労働時間・残業時間を2020年度末までに縮減する②2040年までに介護分野の単位時間サービス提供量(サービス提供量÷従事者の総労働時間で算出される指標)を5%以上改善させる-としている。このほか、2020年代初頭までにペーパーワークを半減させるとの目標も引き続き堅持している。2017年度の介護労働実態調査によると、介護従事者の1週間の残業時間は平均で2.0時間。職種によってバラツキがあり、生活相談員(3.4時間)、サービス提供者(2.9時間)、ケアマネジャー(2.6時間)らが相対的に長くなっている。