月別アーカイブ: 2019年6月

介護が必要となった要因は認知症が最多 19年版高齢社会白書

政府は6月18日、2019年版の「高齢社会白書」を閣議決定した。同白書では、介護保険制度で要介護・要支援の認定を受けた人が増加していることを指摘。介護が必要となった主な要因については、認知症が最も多いとしている。この点、詳細をみると、認知症が18.7%と最多で、以下、脳血管疾患15.1%、高齢による衰弱13.8%、骨折・転倒12.5%などと続いている。これを男女別にみると、男性は脳血管疾患23.0%、女性は認知症20.5%がそれぞれ最多だった。白書、要介護状態になることを予防し、要介護状態になった場合でも、できるだけ地域において自立した日常生活を営むことができるように「市町村における地域の実情の応じた効果的・効率的な介護予防の取り組みを推進する」とし、認知症施策について「国を挙げて取り組むべき課題」と明記している。

「予防」と「共生」が柱 政府が認知症大綱、対策強化

政府は6月18日、認知症対策を強化するため、2025年までの施策を盛り込んだ新たな大綱を関係閣僚会議で決定した。認知症対策は「予防」と「共生」を車の両輪として取組を推進。今回の大綱では認知症を「誰もがなりうる」として、予防については「認知症にならない」ではなく、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」と定義。今後、認知症の発症や進行の仕組みを解明するため、科学的な証拠を収集し、予防・診断・治療法の研究開発を進める。政府は認知症の人と家族の視点を重視しながら、増大する社会的コストの抑制も目指す。団塊の世代がすべて75歳以上になる2025年には認知症の人は約730万人に達し、高齢者の5人に1人となる見込み。

アジア5カ国の約8割が「日本で働いてみたい」ディップが調査

人材派遣などを手掛けるディップ(本社:東京都港区)のディップ総合研究所が、アジア5カ国(中国・ベトナム・フィリピン・インドネシア・タイ)に住む外国人に実施した「日本での就業意向調査」によると、約8割が「日本で働いてみたい」と回答。今年4月から施行された「特定技能1号」に対しても、日本で働てみたいみたいと回答した人の約98%が興味を示していることが分かった。日本で働いてみたい理由は「自国より年収が高い国で働きたい」「最先端の技術を学びたい」「清潔な国で働きたい」が7割超に上った。日本で働く際の懸念・不安点については「外国人ということで差別されるのではないか」「言語の壁があるのではないか」「求める収入・待遇で就業できるか」「希望する職種で就業できるか」「選考を受けるための書類など準備が難しいのではないか」がいずれも6割超えとなった。日本で働く際の希望する職業または業種で介護は30%、外食・飲食業で50%となった。これらはいずれも日本人より高く、介護では22ポイント、外食・飲食でも11.5ポイントそれぞれ上回っている。調査は2019年5月13~20日、インターネットで実施された。有効回答は500サンプル。

越え

東京ガス ユカイ工学と 家庭用ロボットによる子育て応援サービス

東京ガス(本社:東京都港区)は6月13日、ユカイ工学(本社:東京都新宿区)と共同でデジタル技術の効果的な活用および育児サポート領域での事業創出を目的に、家庭用のコミュニケーションロボット「BOCCO(ボッコ)」を活用した子育て応援サービス「まかせて!BOCCO」の提供を同日から開始すると発表した。同サービスの利用にはBOCCO本体の購入が必要。サービスの利用料金は1カ月あたり480円(税別)。

介護職「勧めたくない」中高生より保護者がネガティブイメージ

三重県の福祉人材センターが2018年11月、県内の中学2年生、高校2年生、その保護者、教職員を対象に実施した、介護や福祉の仕事に対するイメージ調査によると、子どもより大人の方が否定的な反応が目立った。介護・福祉の仕事の賃金・給与について、「良い」「やや良い」と回答した割合は中学生が32.8%、高校生が30.6%だった。これに対し、中学生の保護者は12.8%、高校生の保護者は15.5%、教職員はさらに低く、中学が4.2%、高校が5.5%にとどまっている。社会的評価についても同じ傾向がみられた。「良くない」「あまり良くない」の回答は中学生が7.2%、高校生が12.3%。中学生の保護者は34.1%、高校生の保護者は34.3%だった。教職員はさらに多く、中学で38.3%、高校では45.8%にも上った。ただ、「仕事のやりがい」について、保護者や教職員の回答はポジティブな見方をしている人が非常に多い傾向がみられた。その一方で現実には、「働きやすさ(労働時間・休日等)」や「精神・身体の負担」について、ネガティブな見方をしている人が大勢を占めている。

KCCS 病院・福祉施設向け栄養供給管理システムを7月から販売開始

京セラコミュニケーションシステム(本社:京都市伏見区、以下、KCCS)は6月12日、病院・福祉施設・給食委託業者向け栄養給食管理システムの最新版「MEDIC DIET(メディック・ダイエット)Ver.9」の販売を、7月1日から開始すると発表した。MEDIC DIETは、管理栄養士の献立作成や食数・材料・喫食情報管理など高度で複雑な業務を正確かつ迅速にサポートすべく開発された栄養給食管理システムで、1987年の販売開始以来32年間にわたり業界をリードしてきた製品。今回販売するMEDIC DAIET Ver.9は、複雑さを増す栄養管理業務の負荷軽減や効率化を目的に、従来の製品機能を継承しつつ、操作性や機能面での改善を図っている。

高齢者らの手足の震えの原因解明、世界初 群馬大大学院研究G

群馬大学大学院の研究グループはこのほど、高齢者らの手足が無意識に震える症状について、世界で初めて原因を解明したと発表した。小脳から運動に関する電気信号を送る神経細胞の突起部分で、たんぱく質の一種が失われることが原因としている。無意識の震えは65歳以上の高齢者の14%、7人に1人の割合でみられる症状。定年年齢の引き上げが大きな話題になる中、この手足の震えにより高齢者が働き続けるうえで、職種によっては大きな障害になっている。

厚労省 介護現場革新へ全国7カ所で パイロット事業

厚生労働省は今年度、介護現場の生産性向上に向けたパイロット事業を全国7カ所で実施する。このほど開いた、特養や老健、グループホームの事業者団体が参画する「介護現場革新会議」で、選定した7自治体から事業内容の報告を受け、相互に連携して取り組みを展開していく方針を確認した。介護現場革新プランの内容は、人手不足に対応した新たなマネジメントモデルの構築が柱の一つ。施設などの業務を細分化し、必ずしも高い専門性を要しないものを、元気な高齢者などに任せていく形を広げる計画を掲げた。こうした役割分担とロボットやセンサー、ICTなどの活用をセットで進めていくことで、サービスの質の維持や職員の負担軽減を図る構想を描いている。

東京福祉大に受け入れ停止指導文科省 留学生1,610人所在不明

文部科学省は6月11日、東京福祉大学(本部所在地:東京都豊島区)で留学生1,610人が所在不明になっているとの調査結果を公表した。調査結果によると、2016~18年度に約1万2,000人の留学生を受け入れたが、うち1,610人が所在不明、700人が退学、178人が除籍になっていた。こうした状況を招いた点、「大学の責任は重大」として、留学生の受け入れを当面停止するよう指導した。これに伴い、同大学には留学生の在籍管理の徹底を求めるとともに、私学助成金の減額や不交付も検討するとしている。同大学の留学生は社会福祉学部など正規課程のほか、日本語や日本文化を学ぶ留学生別科、正規課程の準備段階の学部研究生などに分かれる。

介護予防のインセンティブを抜本強化、交付金倍増へ

政府はこのほど開いた未来投資会議で、今年の新たな成長戦略の素案を提示した。この柱の一つとして位置付けるのが、健康寿命の延伸に向けた介護予防。自治体により積極的な取り組みを促すため、その努力あ成果に応じて配分額を決める「インセンティブ交付金」を抜本的に強化する方針を打ち出した。来年度からの予算の倍増を図る。今年度のインセンティブ交付金の総額は200億円。これから年末にかけての予算編成過程で調整し、400億円程度まで積み増したい考えだ。