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大阪の介護現場で起きる「伝わらない」問題 ― 外国人介護人材との理解を深めるポイントを紹介

介護現場では、言葉だけでなく“気持ち”が伝わらない場面が少なくありません。
それは、日本人同士でも起きることですが、近年増えている外国人介護人材とのコミュニケーションでは、文化や言語の違いがそのギャップをより大きくしてしまうこともあります。

大阪では多くの外国人スタッフが介護現場で働いており、彼らの力が現場を支えています。
しかし、「指示がうまく伝わらない」「思っていることが理解されない」といった悩みも聞かれます。
本コラムでは、そうした“伝わらない”問題の背景を整理し、外国人介護人材とより良い関係を築くための具体的なポイントを紹介します。


1. 「伝わらない」は言葉だけの問題ではない

「伝わらない」と聞くと、多くの方はまず“日本語力の問題”を思い浮かべます。
確かに、介護現場では専門用語や敬語表現が多く、外国人スタッフにとってハードルが高いのは事実です。

しかし実際には、言葉の問題だけではありません。
例えば、

  • 日本人の「察してほしい」「控えめな表現」が理解されにくい
  • あいまいな指示(「もう少し丁寧に」「様子を見て」など)が具体的に伝わらない
  • 「叱られた」と受け取られて落ち込んでしまう
    といったケースが多く見られます。

つまり、“伝わらない”の本質は、言語よりも文化や価値観の違いにあるのです。
これは、介護の現場が「人と人との関係」で成り立っているからこそ起こる自然な課題でもあります。


2. 文化の違いを理解することが第一歩

大阪の介護現場では、ネパール、ベトナム、フィリピン、インドネシアなど、さまざまな国の人材が働いています。
それぞれの国には独自の文化や宗教、価値観があり、それが日常のコミュニケーションにも表れます。

たとえば、

  • ベトナム人は上下関係を重んじ、直接的な指摘を避ける傾向がある
  • ネパール人は穏やかで控えめだが、困っていても自分から助けを求めにくい
  • フィリピン人はフレンドリーで明るいが、感情表現が豊かで誤解されることもある

こうした特徴を知っておくことで、誤解や摩擦を防ぐことができます。
「なぜできないのか」ではなく、「どう感じているのか」に目を向ける。
それが、文化の違いを超えた信頼づくりの第一歩です。


3. 現場で起きやすい“伝わらない”場面

実際の大阪の介護現場で、どのような“伝わらない”が起きているのでしょうか。
いくつか代表的なケースを紹介します。

① 指示が曖昧なまま伝わる

「もう少し丁寧に」「気をつけてね」といった言葉は、日本人にはニュアンスが通じますが、外国人スタッフには意味が不明確な場合があります。
“どの部分をどう直せばよいのか”を具体的に伝えることが大切です。

② 感謝や評価が伝わらない

日本では「ありがとう」を言葉で伝えるよりも、態度で示す文化が根づいています。
しかし、外国人スタッフは明確な言葉での評価を求める傾向があります。
「助かったよ」「あなたのおかげで利用者さんが笑顔になった」など、感謝を言葉で伝えることで、信頼関係が深まります。

③ 注意が“叱責”に聞こえてしまう

日本人の上司が冷静に注意しても、外国人スタッフからすると「怒られた」「嫌われた」と感じてしまうことがあります。
注意の前後にフォローの言葉を添えるだけで、受け取り方は大きく変わります。

たとえば、

「少し直してほしいところがあるけど、あなたの対応はすごく丁寧で助かっているよ」
といった言葉を添えることで、相手は前向きに受け止めやすくなります。


4. “伝える力”と“聴く姿勢”を両立する

伝わらない問題を解決するには、一方的に伝え方を工夫するだけでなく、相手の反応を丁寧に受け止めることが欠かせません。
つまり、伝える力と聴く力の両方を育てることがポイントです。

大阪のある介護施設では、月に一度「コミュニケーションミーティング」を実施しています。
日本人スタッフと外国人スタッフがペアになり、仕事中に感じた疑問や気づきを共有する時間です。
お互いの立場を理解するきっかけとなり、「指示が怖くなくなった」「話しかけやすくなった」という声が増えたといいます。

このように、“聴く姿勢”を持つことが、結果的に“伝わる関係”を築く近道になります。


5. 日本人スタッフ側の意識改革も必要

「伝わらない」と感じたとき、私たちはつい“相手の理解力”の問題として考えがちです。
しかし、本当に見直すべきは“自分の伝え方”かもしれません。

例えば、

  • 指示は短く、具体的に
  • 大事なことは文字や写真で残す
  • できたことをしっかり褒める
    といった工夫だけでも、現場の雰囲気は大きく変わります。

また、外国人介護人材に対して特別な対応を求めるのではなく、「多様な人が共に働く」ことを前提にしたチームづくりが重要です。
性別・年齢・国籍を問わず、誰に対しても「伝わる」職場づくりが求められています。


6. “伝わる職場”はチーム力を高める

大阪の介護現場には、人情味あふれる雰囲気と、助け合いの文化があります。
だからこそ、“伝わらない”問題を乗り越えたとき、そのチームはさらに強く、温かい職場になります。

ある施設では、外国人スタッフが自国の言葉で「ありがとう」を教える時間を設けています。
日本人スタッフもそれを覚え、日常の中で使うようになりました。
小さなことですが、お互いに「伝えたい」という気持ちを持つことが、信頼の橋をかける最初の一歩です。

伝わらないことを恐れず、伝えようとする姿勢。
その積み重ねが、介護の質を高め、利用者の安心にもつながっていくのです。


7. まとめ ― “伝わる”は育てていくもの

外国人介護人材とのコミュニケーションで起こる「伝わらない」問題は、決して特別なことではありません。
むしろ、働く人の多様化が進む中で、どの職場にも起こり得る課題です。

重要なのは、“伝える力”と“聴く力”を磨き続けること。
そして、お互いの文化や考え方を尊重しながら、少しずつ理解を深めていくことです。

私たちは、外国人介護人材が安心して働ける環境づくりを目指し、今後も現場に寄り添った支援を続けていきます。
多文化共生の介護現場から生まれる「伝わる力」が、大阪の介護の未来を支えていくはずです。

青山信明が、現場での気づきと実践例をもとにお伝えしました。


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