介護業界の人手不足解消には、外国人介護労働者の受入と定着が重要な戦略です。ただし、言語や文化の違い、日本の労働慣行への理解不足などにより、職場に適応するまでには環境整備が欠かせません。
そこで、厚生労働省が提供する「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」および「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)」の活用がおすすめです。これらの制度を活用すれば、日本語研修や多言語マニュアル整備、資格取得支援などを助成金で賄うことができ、初期費用の負担を軽減しながら、安心して働ける職場づくりが可能です。以下では、各助成金の概要、対象、支給額と要件、申請の流れなどを整理してご紹介します。
主な助成金制度のご案内
① 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
目的・対象:
外国人労働者の職場定着を支援するため、言語や相談体制など就労環境整備費用の一部を助成
支給額:
1制度導入につき最大20万円、合計上限80万円。賃金要件(外国人平均賃金が日本人の80%以上)を満たす場合、対象経費の2/3(上限72万円)でも可。それ以外は1/2(上限57万円)
対象経費(一例):
- 外部委託による通訳費
- 多言語翻訳料(社内マニュアルや標識など)
- 翻訳機器導入費(面談用、上限あり)
- 社会保険労務士や弁護士への委託費
- 多言語標識の設置・改修費(外部委託に限る)
受給要件(主な):
- 雇用保険の適用事業主であること
- 「就労環境整備計画」を計画開始の6ヶ月前~1ヶ月前に提出し、認定を受けること
- 外国人労働者の離職率が10%以下、日本人離職率が上昇していないことなど複数の要件
📌 公式情報・ガイドブック・申請様式はこちらから
② 人材開発支援助成金(人材育成支援コース)
目的:
従業員(=外国人労働者含む)に対して職業訓練や日本語研修、安全衛生教育などを実施した場合、その訓練経費や訓練中の賃金の一部を助成
支給額(中小企業の場合):
- 10~100時間未満:15万円
- 100~200時間未満:30万円
- 200時間以上:50万円(最大)
対象資格・条件:
- 雇用保険の適用事業所であること
- 訓練を受ける外国人労働者が、週20時間以上、31日以上の雇用見込みがあること
- 事前に「職業訓練実施計画」等を労働局に届け出ること
📌 公式情報はこちら
助成金活用のポイント
項目 | 内容 |
---|---|
制度活用の効果 | 日本語研修やマニュアル整備による職場適応支援が可能。費用負担の軽減、職場の多様性強化、定着率の向上につながる。 |
申請のタイミング | いずれも事前申請が必須(整備計画または訓練計画を労働局へ提出)。申請期限を逆算して準備することが重要。 |
必要書類 | 計画書、見積書、支払い証明書、賃金確認シートなどが必要。離職率などの実績報告も求められる。 |
併用の可否 | 両制度は併用可能。介護施設では研修+マニュアル整備等をセットで導入する例が多い。 |
公式確認の重要性 | 制度内容・様式は毎年更新されるため、必ず厚生労働省公式サイトや最新パンフレットを確認してください。 |
最後に
外国人介護労働者の受け入れと職場定着支援には、制度導入の費用だけでなく、文化・言語対応・相談体制の整備などが不可欠ですが、それらの多くが国によって支援されています。特に「人材確保等支援助成金」と「人材開発支援助成金」は、初期費用を抑えながら日本語研修や職場環境整備を実施でき、施設運営者にとって非常に有効な制度です。お問い合わせはこちら