一般社団外国人介護留学生支援機構 全国的な介護人材不足は深刻化が続き、特に介護老人保健施設（老健）では経験豊富な人材が求められています。その解決策として注目されているのが、外国人介護職員の採用です。在留資格「特定技能」「介護」「EPA」「技能実習」など多様な制度を活用することで、即戦力の確保や現場の活性化が期待されています。本ページでは、老健が外国人採用を成功させるために必要な制度理解、実務の流れ、支援体制の構築、課題への対応、成功事例などを包括的に解説。人材確保に悩む施設経営者様や担当者様にとって、安心・実践的な導入支援ガイドとなる内容です。
1. 老健における外国人採用の背景と必要性
少子高齢化による慢性的な人手不足に直面。介護分野全体で外国人労働者数は約5.5万人に達し、特定技能の在留者数は28,400人（2023年12月時点）。
特定技能等を活用できる介護施設は老健を含め幅広く、受け入れ施設数は増加傾向です。
老健におけるEPAや技能実習、特定技能人材の活用は「在宅復帰支援」「リハビリ補助」など多様な業務に対応可能です。
2. 在留資格ごとの制度と特徴
| 在留資格 | 内容と特徴 | メリット・制限 |
|---|---|---|
| 特定技能1号 | 介護技能＆日本語試験合格者。最大5年就労可 | 即戦力／転職可能・家族帯同不可 |
| 介護 | 福祉士養成校修了者向け／更新無期限、家族帯同可 | 長期定着・制度安定 |
| EPA | インドネシア等出身、資格取得目指す候補者 | 高い定着率・受け入れ施設数多数 |
| 技能実習 | OJT中心。最大3年＋延長 | 低コストだが夜勤や業務範囲制限あり |
3. 導入メリットと現場効果
- 人材確保の即効性：老健での外国人介護人材の受け入れは特養に次ぎ2番目に多く、即戦力活用が可能です。
- 職場の多文化共生：多様な視点が導入され、スタッフ・利用者双方の意識向上に貢献。
- 制度の柔軟性：特定技能組合や登録支援機関による支援を活用することで、法制度上の負担なく受け入れが可能です。
4. 導入時の課題と対策
- 日本語力とコミュニケーション：合格者はJLPT N4程度。入職後の継続学習体制が定着率を高めます。
- 生活支援とオリエンテーションの整備：法定10項目の支援計画を策定し、住居手配や行政手続き支援を行うことが義務です。
- 現場理解のための研修と環境整備：専門用語のやさしい日本語マニュアルやOJTサポートが有効です。
- 退職防止のフォローアップ：月1面談やメンタリング体制で不安要素を早期解消、定着を図ります。
5. 導入ステップおよび実務フロー
- ニーズと制度選定：施設の業務内容や期間、家族帯同の必要性に応じて適切な在留資格を選びます。
- 募集と選考：求人の作成後、人材紹介会社・登録支援機関等を通じて候補者選定。技能試験等合格者を優先的に面談。
- 雇用契約と在留資格申請：日本人と同等以上の労働条件を提示し、必要書類の提出と取得支援を行います。
- 入職後の支援・オリエンテーション：10項目支援を盛り込んだ導入研修を実施し、生活面もフォローします。
- 定着フォローと評価：定期面談や評価制度、キャリアパス設計によってモチベーションと継続就労を促進します。
6. 成功事例の紹介
北海道・某老健では在留資格「介護」のベトナム人スタッフを迎えて以降、利用者と職員双方から「明るく丁寧な対応」「精神的な支え」への評価が寄せられています。
厚労省調査施設ではEPA・技能実習・特定技能の併用により複数国籍からの採用、多様なチーム構成を実現し、フォロー体制を強化して離職率を抑制しています。
まとめ
介護老人保健施設における外国人採用は、制度面・支援体制・現場環境の３本柱を整備すれば、施設の人材不足解消のみならず、現場の質と多文化共生の双方に資するものです。まずは各在留資格の特徴を理解し、支援体制の計画策定、現場導入の準備から始めましょう。本ページが御社の「老健×外国人採用」実現への第一歩となれば幸いです。