少子高齢化の進行に伴い、介護業界では深刻な人手不足が続いています。そんな中、外国人材の活用を推進する在留資格「特定技能介護」は、即戦力となりえる人材を迎え入れる有効な選択肢です。とはいえ、すべてが受け入れ可能施設なわけではなく、対象となる施設・業務範囲には明確なルールがあります。特定技能介護人材を受け入れ可能施設と受け入れ可能できない施設を分かりやすく分類し、その背景や制度的な理由を丁寧に解説します。実際の運用において注意すべきポイントも網羅していますので、自施設が受け入れ可能施設としての適性の判断材料として、また導入を検討中の方の検討資料としてぜひご活用ください。
1. 受け入れ可能施設(6カテゴリー)
- 児童福祉法関係の施設・事業 肢体不自由児施設、重症心身障害児施設、放課後等デイサービスなど。主に日常生活動作の支援を必要とする児童対象。
- 障害者総合支援法関係の施設・事業 障害者支援施設、就労継続支援B型事業所、グループホームなど。
- 老人福祉法・介護保険法関係の施設・事業 特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、認知症対応型グループホーム、通所介護(デイサービス)、短期入所施設など。
- 生活保護法関係の施設 救護施設、更生施設など。
- その他の社会福祉施設等 地域包括支援センター、福祉ホーム、ハンセン病療養所など。
- 病院または診療所 看護助手・看護補助として患者の日常生活支援を含む業務に従事可能。
2. 受け入れ不可な施設とその理由
カテゴリー | 主な施設 | 受け入れ不可の理由 |
---|---|---|
訪問系サービス | 訪問介護、訪問入浴、訪問看護 | 個別家庭での業務で、コミュニケーションや緊急対応に不安がある。また安全・労働時間管理の観点から困難。 |
住宅型有料老人ホーム | 家賃中心で、介護サービスは外部委託が多い | 施設内業務に介護保険法の指定介護が含まれず、制度対象外。 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 「住まい」としての機能主体で、介護保険指定サービス非該当 | 同上の理由。 |
補足:訪問介護の解禁動向
2025年4月21日以降、一部条件(介護職員初任者研修修了+1年以上の実務経験)を満たす外国人に対しては訪問介護への従事が解禁されました。ただし、制度導入直後のため実務運用には注意が必要です。
3. 対象/非対象施設の背景と法的根拠
◎ 対象施設の根拠
- 厚労省が「介護業務に従事する施設」として定めた6カテゴリーに沿う施設に限定。
- 介護福祉士への実務経験として認められる施設であることが基準。
✕ 非対象施設の理由
- 訪問系業務:利用者宅で単独対応となり、指導・管理の一貫性が難しく、安全性・労務管理の観点でも課題がある。
- 住宅型サービス:介護保険制度に基づく「指定介護」を提供していないため、制度の対象外。
4. 受け入れ要件と注意点
✅ 受け入れ人数制限
施設単位で「日本人等の常勤介護職員数」を上限とし、特定技能1号外国人を受け入れ可能。
✅ 雇用・報酬条件
- フルタイム直接雇用(週30時間以上・年間217日以上)。
- 日本人と同等以上の報酬支払い義務あり。
✅ 法令・支援体制
- 労働・社会保険・税務法令遵守が必須。
- 特定技能協議会への加入(初雇用から4か月以内、2024年6月以降は在留申請前)。
- 支援責任者の配置、多言語支援計画、公的届出など義務付け。
5. まとめ
- 受け入れ可能施設:児童・障害者・高齢者支援施設、生活保護関連施設、福祉・医療機関など6分類。
- 受け入れ不可施設:訪問サービス全般、住宅型・サービス付き老人ホーム。他と比べ「介護保険上の指定」と「現場マネジメント」が整わない点が理由。
- 訪問介護は一定条件下で例外的に解禁済(2025年4月21日~)。
- 導入に際しての要件管理:雇用条件、報酬、法令遵守、支援体制、協議会加入の整備が不可欠。
6. ご相談・お問い合わせ
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